UNDER CONSTRACTION
副作用のない治療は存在しません。“副作用の発生率とその障害の大きさ”と“治療の有益度”を比較して、治療の有益度が高い場合に治療として成立しているのでしょう。
・5%くらいの確率で治療期間遅延
・1%ぐらいの確率で中等度の歯根吸収
・0.01%ぐらいの確率で重度の歯根吸収
・1%ぐらいの確率で顎関節症の悪化
・0.5%ぐらいの確率で歯髄失活
・虫歯、歯周病の発生
以上の6つの副作用はオランジェ歯科矯正歯科さまのホームページより引用(Dr.井上の意見:この発生率はどの論文からの引用なのだろうか?underestimateのような気もする)
次に矯正治療の副作用と問題点を解説します。少しづつ書き足しますので、少し待ってください。
このページの目次
Black triangle(ブラック・トライアングル)
Cavity(虫歯)
Gingival recession(歯肉退縮)
Gummy smile(ガミー・スマイル)
Metal allergy(金属アレルギー)
Midline discrepancy(正中のズレ)
Perio(歯周病)
Root resorption(歯根吸収)
Temporomandibular disorder(顎関節症)
White spot(ホワイト・スポット)
Wisedom tooth(親知らず)
Cavity (虫歯)
Gummy smile (ガミースマイル)
“ガミースマイル”とは、大きく笑ったときに上顎前歯の歯ぐきがたくさんみえることです。
原因は:
@上顎骨が上下的に大きすぎる。
A上顎前歯が下に萌出しすぎている。
B笑ったときに上口唇を引き上げる筋の収縮が大きすぎる。
対処方法は:
@骨に問題がある場合には、入院して外科手術で上顎骨を上下的に短くする。
A歯に問題がある場合には、矯正装置で上顎前歯を上方に移動させる。
B筋に問題がある場合には、3つの方法が考えられます。
a. ボトックスのような薬剤を上口唇を引き上げる筋に注射して、筋が大きく収縮しないようにする。
b. 外科的に上口唇と歯肉を糸で縫合し上口唇が引き上げられないようにする。この方法が有効かどうかは私にはわからない。
c. ガミースマイルにならないように笑う練習をする。女優さんやタレントさんたちは、家で笑う練習をしているでしょう。この角度でこのように笑うとかわいくみえる。この角度でこのように笑うと美人にみえる。勝負時だけ女優さんやタレントさんになったつもりでガミースマイルにならないように笑うのです。そのうち、その笑いかたが習慣になるかもしれない。
若くみえるスマイルとは:
笑うと少し歯ぐきがみえるぐらいが若くみえるといわれています。おばあさんのスマイルを想像してみてください。大きく笑っても歯ぐきがみえないどころか、歯もみえない。幼児のころは大きく笑っても歯ぐきがみえない。思春期では大きく笑うと歯ぐきがみえる。おばあさんになると大きく笑っても歯ぐきがみえなくなる。もちろん、個人差が大きいです。上口唇は年齢とともに下にさがってきます。若いころに大きく笑っても歯ぐきがみえないようにすると、年をとってから実年齢よりも年をとってみえるかもしれません。
Metal allergy (金属アレルギー)
“たまに金属アレルギーかな“と思われる場合は、金属アレルギーでないことが多いです。アクセサリーの使用金属には規制がありませんから、あまりよくない金属が使用されている場合もあるようです。ブレースは口の中に入れる医療器具なので厚生労働省の認可が必要ですから、あまりよくない金属は使用されていません。口の中に金属を使用して虫歯の治療がなされていれば、まず大丈夫でしょう。
金属アレルギーの診断がなされている場合には、そのアレルゲンの金属が含まれていない合金で製作されたブレースを用いて矯正治療するか、インビザラインを用いて矯正治療します。
“たまに金属アレルギーかな“と思われる場合には、まず普通のブレースで治療を開始します。金属アレルギーの症状が出れば、金属アレルギーの診断がなされている場合の矯正治療に変更します。最初から金属アレルギーの方のための治療をしないのは、この方法は“飛車角抜きの将棋“のようなもので、治療方法が制限されるのでどうしても治療期間が長くなる傾向にあるからです。
どうしても気になるようでしたら皮膚科で金属アレルギーのパッチテストを受けてください。“どうしても気になるようでしたら“の意味は: 人間ドックなどで検査すれば必ず異常は見つかります。“異常を早期発見したい“という人もあれば、“日常生活に大きな不便がなければあまり気にせず生活したい“という人もあります。
Wisedom tooth(親知らず)
親知らず(第三大臼歯、智歯)の抜歯が必要となるのは、顎骨が小さくて親知らずの萠出余地がない場合です。親知らずが骨の中に完全に埋もれていたり、半分だけ埋もれていたりすると智歯周囲炎をおこして痛くなることもありますから、親知らずを抜歯しましょうとなることも多いです。骨の大きさに余裕があって親知らずがちゃんと生えているのなら抜歯せずに虫歯治療をすることが多い。
矯正の先生の親知らずに対する意見は3つ。"矯正治療する前に抜歯してください" "矯正治療が終わったら抜歯してください" "親知らずが痛くなったら、その時に考えてください"。 どうして3通りの先生がいるのかというと、親知らずが歯ならびに与える影響がよくわかっていないのです。
親知らずの萠出余地がないと、親知らずが無理やり生えてこようとして歯ならび全体を前に押すので、歯ならびがデコボコになりやすいという意見もありますが、よくわかっていません。たとえば、親知らずがなくても、若い頃に歯ならびがきれいだったのに年齢とともに下の前歯がデコボコになってきたという人もあり、10年に1mmづつ歯は前に生理的に移動しているというデータもあるらしい。これが正しいかどうかはよくわからない。
水平埋伏知歯(親知らずが横を向いて骨の中に埋もれている親知らず)でも、顎の骨の大きさに親知らずが生える余裕があれば、親知らずに矯正装置を付けて水平埋伏知歯をまっすぐに起こすこともあります。
抜歯の適否の判断材料:
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・顎の骨の大きさに親知らずが生えるだけの余裕があるかどうか。
・虫歯の大きさ。親知らずでなくても虫歯があまりにも大きければ抜歯になります。
・対合歯(下の親知らずの対合歯は上の親知らずです)があるかどうかです。