当院の院長はインコグニートの認定医です
利点欠点メリットデメリットはコインの表裏
- インコグニート(商品名)は治療前に治療結果を決定してオーダーメイドで製作しますから、治療計画が明確で確実であるのは利点メリットでしょうが、治療後期に治療結果を少し変化させたいときには複雑な操作が必要になることが多いのは欠点デメリットであるかもしれません。ここではインコグニートの特徴を説明します。
"ブラケット"とは
- 歯の表面に接着剤で接着する一辺がおおよそ3mmのほぼ立方形のもので、これにワイヤーをくくりつけます。材質は、大きく分けると、金属製、セラミック製、プラスティック製があります。ブラケット自体が矯正力を発生するのではなく、ブラケットにくくりつけたワイヤーやエラスティックス(矯正用のゴムのこと)が矯正力を発生します。表側でも裏側でもブラケットとワイヤーを用いた矯正装置のことを"ブラケット装置"、"マルチブラケkット装置"といったりします。
2種類のマルチブラケット装置
1. 表側装置、唇側装置、ラビアル装置、ラビアルブラケット装置: 最もポピュラーな矯正装置で、他の装置に比べ研究データも多い。
2. 裏側装置、舌側装置、リンガル装置、リンガルブラケット装置: 歯の裏側にブラケットを接着するので、ネット上に"見えない装置"とか書いてあったりしますが、大きな口を開けて笑う人は下顎のブラケットが見えることもあります。 裏側装置の経験の少ない先生は、表側装置と比較して、"裏側矯正ではうまく治療できない"、"治療期間が著しく長くなる"、"裏側装置が舌にあたって食べれない、話せない"といわれるかもしれません。実際そうですが、裏側装置の臨床経験が増えればなんかなるものです。
3種類の製作方法
1. スタンダード・エッジワイズ(裏側装置ならマッシュルーム・アーチでしょうか): 工場で一定の規格で同じブラケットやワイヤーを製造します。すべての歯に同じ形態のブラケットを歯に接着します。それぞれの歯によって形態や傾斜が異なりますから、ワイヤーを複雑に屈曲しなくてはなりません。
2. ストレート・ワイヤー: 工場でそれぞれの歯の形態や傾斜にあわせて異なる形態のブラケットを製造します。たとえば、犬歯の形態や傾斜にあわせて犬歯用のブラケットを製造します。そうすればワイヤーの屈曲の必要性がかなり少なくなるのです。ブラケットを接着するさいに、ブラケットの接着面の接着剤の量を同じにしないで、ワイヤーをなるべく屈曲する必要がないように接着剤の量を個々のブラケットで変える方法もあります。
3. オーダーメイド: 患者さまの歯型模型をもとにブラケットと治療段階ごとのワイヤーを製作してもらいます。ですから、このブラケットとワイヤーはその患者さまだけに使用できます。送られてきたワイヤーを順番に交換していきます。
インコグニート(オーダーメイドの裏側装置で、商品名)は優れているが、万能でもない
インコグニートによる治療が短期間で良好な治療結果が得られるかというと、そうでもありません。インコグニートは車でいえばオートマ車、マッシュルーム・アーチはマニュアル車でしょうか。オートマ車は市街地や高速道路の走行に適したように作られているでしょう。山道や砂浜を走行するにはマニュアル車のほうが適しているかもしれません。順調にいけばインコグニートによる治療が短期間で良好な治療結果が得られるでしょうが、いったん何か修正しようとすると、インコグニートは融通がきかないことが多い。マッシュルーム・アーチは融通がきくことが多いが、より高度なテクニックが矯正医に求められる。